オリジナルBL小説を、つれづれに書き綴っています。
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「黒髪、黒目の人間はいない・・・だと?」

そんなことってあるのか?
この世界にはアジア人や黒人はいないってことか?
いや、西洋人にだって黒髪はいるだろう。

言葉を失っている俺を、エリアスとオーランドが複雑な表情で見つめてくる。
そこへ、初老の男と若い男が連れ立ってやってきた。
若い男の方はドアを開けるなり小走りでやってくると、エリアスの前で深く頭を下げた。

「陛下、お待たせしてしまって申し訳ありません!」
「ああ、キリエ。ギルベルトも。ちょうどよかった」
「おめでとうございます、陛下。ついに伴侶となる方がいらっしゃったとのこと、ギルベルトも嬉しゅうございます」
「うん。長らく待ったかいがあったよ」
「こちらのお方がそうですか」
「ああ、ハンサムだろう?」
「誠に、美形でいらっしゃいますね」
「ふふ。さすがはギルベルト、見る目があるね。キリエ、小姓たちにお茶と菓子の用意をさせておくれ」
「かしこまりました」
「とりあえず、一旦座ってちゃんと話をしよう」

キリエと呼ばれた青年はこちらに会釈だけすると、身をひるがえして部屋を出ていく。
金髪というより黄色に近いオカッパ頭は、まるでアニメのキャラクターのようだ。
カーキ色のスーツのようなものを着ているが、上着の丈が長く膝下に近いところまである。
年の頃は22、3というところか。

ギルベルトと呼ばれた初老の男は、薄い紫色の髪をしている。
よく婆さんが白髪染めをしているような、ああいうのではなくて本当に地毛から紫という感じだ。
それをきっちりと油で後ろにまとめている。
眉毛も髭も紫色で、なんだか不思議な感じだ。
濃いグレーの三つ揃えにきっちりとネクタイも締めている。
いわゆる執事と呼ばれる立場にいるのだろうか。

エリアスとオーランドに促されてソファーに座ったが、ギルベルトだけはその近くに立ったままだ。
柔和な笑みの中にもどこか品定めするかのような視線を感じ、なんとなく居心地が悪い。
この手の人間は甘く見ない方がいい。
間違いなく、一筋縄ではいかないタイプだ。
そのうちキリエが若い少年を連れて戻ってきた。
少年はワゴンのようなものを引いている。
その上にはお茶一式とクッキーのようなものが乗っている。

「ナルセ、詳しい話をする前にまずは彼らの紹介だけ先にさせて」

俺の向かいに優雅に足を組んで座ったエリアスが、これまた優雅な長い指をティーカップに伸ばすとゆっくりと持ち上げ、一口啜る。
それを見たオーランドも茶に手を伸ばす。
まるで映画のワンシーンのようだ。
ふと目の前のカップに目を落す。
見た目は普通の紅茶だ。
恐る恐るカップを持ち上げると、ふわりと柔らかな華のような香りが鼻腔をついてきた。
ジャスミン茶とも違う、これまで匂ったことのない香りだ。
意を決して口にすると、芳醇な味わいが口いっぱいに広がった。
悪くない。

「ここにいるのはギルベルト。代々、竜王族である僕たちの執事をしてもらっている。この城のことなら彼がすべてを把握しているから、何か困ったことがあれば聞いて」
「ナルセ様、よろしくお願いいたします」
「あ・・・ああ」
「それからこちらがキリエ。姉の侍従だったんだけど、今日からナルセ付筆頭侍従になってもらうから」
「陛下、それは本当ですか?」
「うん、テルマも賛成してくれたよ。急なことで申し訳ないけど、おまえなら腕も立つし、有事の際にはナルセを守ることができるでしょう?ナルセはこの世界に来たばかりで慣れるまでしばらくは大変だと思うから、おまえが色々と支えになってやってほしい」
「かしこまりました。陛下の大切なお方をお守りできるなど、身に余る光栄でございます。ナルセ様、何かありましたらこのキリエに遠慮なくお申し付けください。ナルセ様のことはこの身にかけても必ずやお守りいたします。身の回りのお世話などは他にも小姓や侍従がおりますので、気軽にお申し付けくださいませ」
「あ、いや・・・ああ、うん」

お世話だのお守りするだの、なんだかこそばゆいことばかり言われて戸惑ってしまう。
ギルベルトとは対照的に、キリエという青年は急に言い渡された配置換えをそれこそ大抜擢と捉えたようで、心底嬉しいらしく震えながら目を潤ませている。
どちらかというと小説でも読んでるほうがお似合いな雰囲気だが、腕が立つというのは本当なのだろうか。
小柄とまではいかないが、体格もそれほど大きくないしこの場にいる男たちの中でも一番華奢な感じだ。
疑いつつも茶を啜っていると、こちらを見つめてくるキリエと目が合ってしまった。
そんなキラキラした目で俺を見るなよ。

「で、さっきの話の続きだが・・・」
「ああ、そうだったね」
「黒髪と黒目の人間はこの世界にいないってのは、本当なのか」
「本当だよ。こうして見てもわかるように、誰ひとり黒髪も黒い瞳もいないでしょう?」
「確かに・・・赤だの黄色だの、派手な色の髪で最初は驚いたぜ。コスプレでもしてるのかと思った」
「こすぷれ?」
「いや、何でもねえ。それで?」
「この世界には存在しない黒髪と黒い瞳を持つ人物が、神から遣わされる。それがこの国の歴史なんだ。つまり、黒い髪と黒い瞳は聖なる証のようなものなんだよ」
「聖なる証・・・」

エリアスの一族が治めるこのベルゲンシュタイン王国は、かつては痩せた土地だったという。
それがある時、天から一匹の竜が現れ、この国に豊穣をもたらす代わりに生贄を差し出せと要求した。
竜神に逆らえば国は滅ぼされる。
恐れた民たちは当時もっとも美しいと言われた人物を竜に献上した。
それが竜王の誕生だった。
竜との間に生まれた竜王族は、人であると同時に竜でもある。
竜に守られた王国は天下泰平となった。

「それからしばらくして、今度は西の砂漠の向こうにある王国が我が国を攻めてきたんだ。もちろん、我が国の豊かな資源と広大な土地を狙って」

サブレのようなクッキーのようなものを頬張りながらエリアスが続ける。
つられて1枚食べてみたが、いまいち甘みが足りない気がした。
食感も少しパサパサしている。
これなら日本のコンビニで売っている安物のクッキーの方が、まだしも美味いと言えるだろう。

「長らく平和が続いていた我が国の軍隊はお世辞でも強いとは言えなかった。いつでも竜の姿を取れる竜王がいれば怖いものなしだと高をくくっていたのもあって、軍隊はろくに訓練も受けていない名ばかりの存在だった。そこへ大軍が押し寄せてきた。あわやという状態に陥った時に現れたのが黒髪と黒い瞳の少年だったんだ」

初代(と言っていいのか)竜王は、身を挺して国民を守ろうとしたらしい。
だがすでに年老いていた竜王一人では、十数万という大軍に立ち向かうには無理があった。
そんな時に突如救世主のように現れた黒髪と黒目の少年が、たった一晩のうちに竜王に若かりし日のパワーを取り戻させたという。
その後は竜王の八面六臂の活躍で見事敵軍を打ち負かし、国を守ることができた。
そしてその少年との間に5人の子供たちが生まれた。

「子供・・・」
「そう、竜王はなぜか普通の人間との間には子をなせないんだ。これまで正妃や側室を何人持ってもダメだった。竜王には天が遣わした番と呼ばれる伴侶としか子をなせない」
「で、その番ってのが俺ってわけか」

おとぎ話を聞かされているような気分になってくる。
本当はまだ俺は夢の中にいて、頬をつねれば目が覚めるんじゃないか。
そう思って太ももをギュッとつねってみたが、鈍い痛みが走っただけで何の変化もなかい。

「俺は天からの使いなんかじゃねえ。聖なる証だとか救世主だとか、冗談じゃねえよ」
「ナルセ・・・?」
「俺は・・・俺はあっちの世界じゃ極道だったんだ。極道ってわかるか。早い話がヤクザだよ。ヤクザもわからねえか・・・つまり、世の中の秩序を乱す厄介者だよ。向こうじゃゴミみたいな扱いさ。とてもじゃないが、俺なんかにそんなたいそうな役目が務まるとは思えねえ」
「そんなことないよ。ナルセがここに来たのもきっと何か理由があってのことだよ」
「俺には無理だ」
「これは運命でございます。ナルセ様」
「はぁ?」
「ナルセ様がどういうお方であれ、神が選びこの地に呼び寄せたというのは、何らかの思し召しがあってのこと。ですから何とぞ、それを受け入れてはいただけないでしょうか。このギルベルト、主に代わってお願い申し上げます」

紫頭が深々と腰を折る。
他の連中も、かたずを飲んで見守っている。
おいおい勘弁してくれよ。



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[2017/06/10 12:00] | 若頭なのに異世界トリップしちゃいました
|

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日高千湖
ふを~~~っ!!

にゃあさま~読み逃げ野郎がきましたよ~♪

ドタバタの日曜日を越えました~!!

という事で、まだファンタジーを理解していない成瀬さんですね。

紫頭の申し出に「おう」というのか?言わないと思うけど(笑)

外に出れば危険と言われても、とっとと出て行っちゃいそうだし!かといって、この状況では出口を探しに行きたくなるのもわかります。

一応、人型で良かった~♪くらいの大らかさがないとね!

頑張って横文字名前を把握したいと思います!!

楽しみにしてまーす!

鍵コメKさま
にゃあ
鍵コメKさま~

ホント、物騒な世の中ですよね。
うちの実家の町内も、空き巣が多いんです。
お年寄ばっかり住んでるから、狙われやすいみたいで・・・
若い人、男がいるだけでずいぶん違うんですよね。

この先日本はますます高齢化が進んでいくから、
年寄を狙った犯罪も増えそうですね。
お互い、自衛しましょうね~


日高様
にゃあ
日坂様、ふを~~~!!

> ドタバタの日曜日を越えました~!!

お忙しい中、コメントありがとうございますっ(≧∀≦)

> という事で、まだファンタジーを理解していない成瀬さんですね。
> 紫頭の申し出に「おう」というのか?言わないと思うけど(笑)

なんかやっぱり、「ここは異世界です」「はいそうですか」とは、
いかないですよね~そりゃ(^ ^;)
どこかで信じたくない、っていう思いがあるのでしょう。
夢であってほしい、っていう。

> 外に出れば危険と言われても、とっとと出て行っちゃいそうだし!
> かといって、この状況では出口を探しに行きたくなるのもわかります。
> 一応、人型で良かった~♪くらいの大らかさがないとね!

そうそう、ヒト型であってよかったと思わないと(笑)
まあ、まだそこまで思考が追いついていないようです(^ ^;)

> 頑張って横文字名前を把握したいと思います!!
> 楽しみにしてまーす!

ありがとうございます~
そのうち、登場人物や設定を目次ページにあげますので・・・
今しばらくお待ちを。

相変わらずの亀更新ですいません(^ ^;)


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「ここがナルセの部屋だよ。この城で一番景色がよくて日当たりも良い、最高の部屋を用意したよ」
「城・・・」

今、城って言ったか。
聞き間違いじゃないよな。

「ナルセ、突然の環境の変化に戸惑う気持ちはわかる。だけどとりあえず、しばらくはこの部屋から一人では出ないでほしいんだ」

申し訳なさそうに言うエリアスの言葉が頭を素通りしていく。
城・・・つまりここは本当に異国、いや異世界というわけか。
そして目の前の超絶美形の若者は、本当にこの城に住む王様ってわけなのか。
でもって俺は・・・

「本当ならここにいるオーランドを常につけておきたいところだけど」
「お気持ちはわかりますが、王、それは無理ってもんです」
「わかってるよ。おまえは騎士団の長だもの。ずっとナルセのそばについてるというわけにはいかないよね、それはわかってる」
「キリエは腕が立ちます。あいつは筆頭侍従なんてやってますが、騎士団に勧誘したいくらいの腕前ですよ」
「そうだね、キリエがいれば大丈夫だよね」

1人で部屋からは出るなだと?
それじゃあまるで軟禁じゃねえか。
冗談じゃねえよ。
この馬鹿でかい部屋で一人、ずっと引きこもってろとでも言うのか。

なんだか気が遠くなってくる。
このまま一生、ここから出られないなんてことはないよな・・・

「ナルセ、聞いてる?」
「え・・・ああ」
「この部屋は僕の寝室に繋がってるんだよ。ほら、あそこ。あの扉を開ければ僕の部屋。いつでも行き来できるようになってるんだ」
「行き来って、なんで」
「なんでって、僕たちは夫婦なんだから当然でしょ?」
「はぁ?!」
「ほとんどの王族は国王と皇后は住まいを別にするんだけどね。隣国のエルセラーン皇国なんかは、あ、エルセラーンには僕の伯母上が嫁入りしてるんだけど、皇帝の住まいと皇后の住まいは別になっていて、皇帝が月に何度か皇后の部屋に訪れるんだ」
「エルセ・・・なんとかの話はどうでもいい。それよりおまえさっきなんて言った?夫婦とかなんとか・・・」
「ん?夫婦だよ。それがどうかした?」
「どうかって」

ちょっと待て。
頭がくらくらしてきた。
話の展開についていけない。

夫婦だと?
この俺が、こいつと夫婦になるってことか?
冗談は休み休み言ってくれ。
俺は男で、エリアスも確かにかなりの美形ではあるが男だろう。
それが夫婦だと?

「安心してね、ナルセ。僕にはあなただけだから。エルセラーンに限らずほとんどの王室には正妃のほかに側室があって、多いところだと十数人の側室を抱えている場合もあったりするけど、竜王には正妃ただひとりと決まっているんだ」
「ちょっと待て、俺はまだ・・・」
「この国には側室はないんだ。竜王の妃になるのはただ一人。だからナルセ、僕は生涯をかけてあなたを愛し、あなたと共に生きることを誓うよ。ナルセにも僕のことを好きになってほしい。そして僕の子供を産んでほしい」
「子供・・・?」
「もしかすると、僕が子を産むことになるのかもしれないけど。それはどっちでもいいんだ。とにかく僕たちの子供を作って、この国の次期竜王を育てないと」
「次期竜王・・・」

まじで頭がクラクラする。
子供だとか竜王だとか、勘弁してくれ。
何が悲しゅうてこんなわけのわからない異世界に飛ばされて、男と夫婦になって子供まで作らにゃならんのだ。
俺はボンッキュッボンな女が好きなんだ。
たとえどれほど美形だったとしても、男はごめんだ。
っていうか、そもそも男同士で子供なんてできるわけないだろうが。
それともこの異世界じゃ、なんでもありってことなのか?
いくらなんでも無茶苦茶だ。

それに、俺の意志はどうなる?
一方的に妃(ってこの言い方も勘弁してほしいが)だとか、そんなの決めつけるんじゃねえよ。
俺がいつおまえの妃になるなんて言った?
王様だかなんだか知らねえが、勝手すぎやしねえか?
それとも極道の俺の意志など、王様の前には石ころ以下の扱いってわけか?
いや、極道は関係ないのか。

「ナルセ・・・?」

エリアスのすみれ色の瞳が不安に揺れる。
色々まくし立ててやろうと思っていた気持ちが、少しばかり萎えてしまう。
目の前の美形は、今にも泣き出しそうな顔で、まるで縋るように見つめてくる。
瞳がうるうるしていて、まるで宝石のようだ。

そんな顔すんなよ、なんだか俺が悪いことしてるような気分になっちまうじゃねえか。
泣きたいのはこっちのほうだぜ。

「もしも嫌だと言ったら?」
「え・・・?」
「もしあんたと夫婦になるのはごめんだ、こんなところにいたくねえって言ったら俺はどうなる?」

エリアスの瞳が大きく見開いた。
形の良いピンクの唇が、まるで呼吸困難に陥ったかのようにパクパクと動く。
側に控えていた赤毛の男、騎士団長だったか、彼がまなじりを吊り上げ、エリアスを庇うように身を乗り出してきた。
その右手は素早く腰に差した剣に掛けられる。
いつでも切り捨ててやろうという勢いで睨みつけてくる。
凄まじい殺気だ。

ダテにヤクザなんてやってねえ。
相手が本気かどうか、どれくらいの戦闘能力があるかは、見ただけで大体わかる。
まだ若いが、こいつの持つ殺気はただものではない。
さすがは騎士団長だ。
歴戦の兵士であることは、疑いようがない。
王様に反抗した罪で、この場で切って捨てられるのか・・・

「貴様、陛下に向かってなんて口のきき方をっ」
「オーランド、やめてっ」
「ですが」
「いいんだ。ナルセだって、いきなりこんなところにやってきて、突然知らない人間に囲まれて気持ちの整理がつかないのは当たり前だよ。もう少し落ち着いてから話をするべきだったのに・・・焦っちゃった僕が悪いんだ」
「王は何も悪くありません。この男は口のきき方がなっていない。いったいどういう世界にいたのか」
「口が悪くてすんませんね。俺は極道だから、相手が誰であってもこの話し方は変わらねえ。気に入らねえならここから出ていくまでだ」
「出ていくって、なに言ってるの!」

エリアスが悲鳴のような声を上げた。
ガシッと俺の両肩を掴んでくる。
思いのほか力が強くて、体が揺れる。
こっちの人間は体格もいいが、力も強いのかもしれない。

「ナルセ、ここから出るのは絶対にダメだよ。そんなことしたら、命の保証はないんだから」
「王の言うとおりだ。もうすでに番が現れたというのは星が知らせている。この国の民だけでなく、近隣諸国やさらにその向こうの国々にも知れ渡っているはずだ。ここでおまえが城を出るなどということがあれば、大変な騒動になる」
「んな大げさな」
「大げさなどではない。黒髪、黒い目の人間はどこにいても目立つ。あっという間に顔が差すだろう」
「そういや最初から気になっていたが、黒髪に黒い目ってそんなに珍しいのか。この広い世界に、他にもいるだろうが」
「いないよ」

エリアスが真剣な面持ちで言う。

「黒髪黒い目の人間は、この世界にはいない」

いない?
まさか、そんな・・・

ここはいったいどういう世界なんだ?



成瀬さん、だからファンタジーの世界なんですってば(●´艸`)♪

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[2017/06/03 23:00] | 若頭なのに異世界トリップしちゃいました
|

((((;゜Д゜)))
日高千湖
えーーっと、子ども出来ちゃうんですね?はい、把握しました!

そして、外は危険、と。

他の国に狙われちゃうんですかね?そこのところは今後ってことですね、ふふふっ。

ファンタジーなので、ナルセも早く把握してよね(笑)

しかし、横文字の名前が覚えられない(笑)
頑張りまーす‼

Re: ((((;゜Д゜)))
にゃあ
日高様~~~きゅっきゅきゅうっ

> えーーっと、子ども出来ちゃうんですね?はい、把握しました!

はい。
子孫を作るんです。
腐、腐、腐(●´艸`)

> そして、外は危険、と。
> 他の国に狙われちゃうんですかね?そこのところは今後ってことですね、ふふふっ。

まあ、そうですね。
そのあたりはこれからおいおい・・・ということで。

> ファンタジーなので、ナルセも早く把握してよね(笑)
> しかし、横文字の名前が覚えられない(笑)
> 頑張りまーす‼

ファンタジーなのでどうしても横文字の名前になっちゃいました(^ ^;)
私も時々、自分で「あれ・・・」ってなったりして、
人物相関図を見直したりしてます~(汗)

ぼちぼち亀更新になりますが、お付き合いくださいませ~

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どうやら俺は異世界に飛ばされちまったらしい。
この、まるでファンタジー映画に出てきそうな連中たちにじろじろ見られながら、いったいこの先どうやっていけばいいのか無い知恵を必死で巡らせる。
よほど不安げな顔をしていたのだろうか、エリアスが慈愛に満ちた顔を向けてくる。

「ナルセ、とりあえずここにいる者たちの紹介をしておくね。おいおい城内のことには慣れていってもらうとして、まずは僕の直属の臣下と家族のことは知っておいてもらわないといけないから。このさっきからけたたましいのが僕の姉のテルマ。僕と同じ竜王族」
「けたたましいだけ余計よ」
「もう一人弟のルカがいるんだけど、今ちょうど昼寝の最中だから起きてきたらまた紹介するよ。僕たちは3人姉弟なんだ。それからヴァレンティーノ」
「はっ」
「こちらが神官長のヴァレンティーノ。我が国の歴史については右に出る者がいないくらいに詳しいから、聞きたいことがあればいろいろ聞くといいよ。神官長、ナルセのこと頼んだよ」
「かしこまりました。何なりとお聞きください」

神官長ってのは神父みたいなもんだろうか。
エリアスより半歩下がったところで恭しく頭を垂れている。
なんかやっぱり極道の挨拶のようだ。
この中では一番年長のようだが、実際のところ西洋人の年齢は見た目ではわからない。
東洋人と比べて老けて見えるというのもあるが。

「で、こちらにいる猛者が我がベルゲンシュタイン王国が誇る騎士団の長を務める、オーランド。騎士団長の下、選び抜かれた王国の騎士たちが約100名、その下には王国軍があってさらに一般の兵士が数万人いるんだよ」
「騎士団・・・兵士・・・」

190センチはゆうに超えているだろう長身の青年は、さっき目覚めたばかりの時に真っ先に視界に入ってきた人物だ。
燃えるような赤い髪を後ろに縛っている。
飴玉みたいな金色の目は鋭く、騎士団長の名に相応しい。

「今のところ我が国には平和が続いているけれど、いつなん時隣国との関係が崩れるかわからないからね。有事の際はもちろんのこと、日頃から街の治安も担っている」
「警察みたいなもんか」
「警察?」
「警察を知らねえのか」
「王、警察とは民の生活を守り、非道に走る輩を捉える組織のことです。我が国で言うところの王国軍と似たような存在かと」
「なるほど」

この世界には警察はいないらしい。
ってことは極道もいないということか。
いや、警察の代わりに軍隊があるんだから、こちらのほうが手ごわいのか。

「で、こちらがその王国軍を率いるディートリヒ。軍部大臣をしてもらっている」
「ディートリヒです、お見知りおきを」

優雅に腰を折って挨拶する軍部大臣は若い女性だ。
年の頃は自分と同じくらいだろうか。
肩や胸に色んな紋章が付いた、派手な赤いジャケットを着ている。
いわゆる軍服ってやつなんだろうが、こういうコスプレをどこかで見たことがあるな。
コスプレというか、昔の少女漫画だったか。
男装の麗人が主役で、確かフランス革命が舞台の・・・

「どうかなさいましたか」
「いや・・・」

いけねぇ、無意識のうちにまじまじ見つめていたようだ。
それにしても、緑色の髪の毛なんて始めて見る。
染めているわけじゃなさそうだから、きっとこの国の人間は髪も瞳の色も千差万別なのだろう。
ただ、黒髪は今のところここにはいなさそうだが・・・

「あとは文官と執事、侍従たちがいるけどまたおいおい紹介するね。ああ、でもナルセの世話役が必要だね」
「それはキリエに任せてはいかがでしょう」
「キリエを?」
「だが、キリエはテルマ様付筆頭侍従ではないか。テルマ様のお世話はどうなる」
「あら、私は平気よ。侍従は他にもいるし」
「ですが、殿下・・・」
「ナルセは異世界からここに来たばかりで色々不便なこともあるでしょう。一番有能な侍従が世話するのがいいと思うの。これまでもそうだったんじゃなくて?」
「確かにテルマの言うとおりだ。ナルセには不便を感じてもらいたくない。筆頭侍従のキリエがナルセについてくれれば安心だ。そうだな、ヴァレンティーノ」
「仰る通りでございます。過去に番となられました方々には、必ず筆頭侍従が付いておりました。ですのでナルセ様にも・・・」
「おいおい、ちょっと待ってくれよ。侍従だかなんだか知らねえが、別に誰に面倒見てもらおうなんて思っちゃいねえよ。自分のことは自分でやるから気にしないでくれ」

このまま放っておくと世話役を付けられる方向で話が決まってしまいそうだ。
自由に動き回れないのは困る。
堅苦しい生活なんて真っ平ごめんな俺は、思わず会話を中断させる。

「そういうわけにはいかないよ。ナルセは僕の番になるんだから、侍従が何人かつくことになる。筆頭侍従のキリエとあと数名。僕は公務があって日中は常に一緒にいてあげられるわけじゃないからね。基本的に身の回りの世話は侍従の仕事だから、ナルセは何もしなくていいんだよ」
「そんなこと言われても、ずっと他人に見張られているなんざ気持ちが落ち着かねえ」
「高貴な方々には普通のことです」
「俺は高貴な生まれじゃねえよ」
「どういう出自であれ、ここに来られたということは陛下の番になるということ。殿上人として暮らすということになります。いきなり身分が変わってしまうことで戸惑いもあるとは思いますが、そこはおいおい慣れていっていただくしかありません」
「神官長の言うとおりだ。慣れるしかないんだよ。ナルセ、あんたの気持ちはわかる。俺も今はこうして騎士団長なんてやってるが、元は庶民の出だ。王宮の中心部にいるほとんどの人間が貴族かそれに準ずる家柄の出だが、俺は違う。だから、居心地が悪いってのはよくわかる」
「ああ、そうだった。オーランドは仕立て屋の息子だったね」
「そうですよ、陛下。まさかお忘れとは言わせませんよ」
「忘れちゃいないよ。名だたる騎士たちの中でも比類ない運動能力と強さを誇る騎士団長が庶民の出であることは、我が国の誇りでもあるのだから。生まれなど関係なく、能力さえあれば立身出世できると民たちに希望を与える存在なのだよ、おまえは」
「そこまで言われるとちょっとこそばゆいですけどね」
「ともあれ、ナルセ。歩けそうだったらこのまま部屋に案内するよ。ギルベルトとキリエには後で顔を出すよう言っておいて」
「「かしこまりました」」
「私も行っていいでしょ」
「テルマはこれからお茶会なんじゃなかったの」
「お茶会はまた今度にするからいいの」
「ダメだよ。もうお客様は到着してるはずだよ。そんな急に変更とかしたら失礼だよ。ほら、早く行ったら?」
「ちぇ~~~つまんない」
「じゃあ、ナルセ、行こうか」

有無を言わせずことが勝手に決まって行く。
まるで連行される宇宙人のように、エリアスに半ば引きずられるようにして俺は部屋を連れ出されたのだった。



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[2017/05/24 12:00] | 若頭なのに異世界トリップしちゃいました
|

ふを~~!!
日高千湖
若頭、物凄い順応力(笑)

もう、番をやる気満々ですね。しかし、これってどっちがどっち?今までは少年がやって来たんでしょう?今回はオジサン(失礼)

気になって眠れません(笑)

日高もなんちゃって若頭書いてるんですが、それってどれくらいエライのかしら?とか、そこから入っちゃいました(笑)

異世界の王様もいいんですが、日高はお昼寝中のルカとガヤガヤテルマが気になります~♪

Re: ふを~~!!
にゃあ
日高様~きゅうきゅううっ♪

> 若頭、物凄い順応力(笑)
> もう、番をやる気満々ですね。

まあ、極道ですからね。
それも大きな組の若頭ですから。
普通の人間とは胆の座り方が違う、という感じでしょうか。

> しかし、これってどっちがどっち?今までは少年がやって来たんでしょう?今回はオジサン(失礼)
> 気になって眠れません(笑)

あはは。
そこはまだまだこれからのお楽しみということで♪
腐、腐、腐・・・

> 日高もなんちゃって若頭書いてるんですが、それってどれくらいエライのかしら?
> とか、そこから入っちゃいました(笑)

河野さんですね~(≧∀≦)
すごく気になっています!
ヤクザスキーにはたまらない設定ですよっ(興奮)

> 異世界の王様もいいんですが、日高はお昼寝中のルカとガヤガヤテルマが気になります~♪

この姉弟は私もお気に入りのキャラです~。
ルカの登場はもうすぐ・・・かな?
楽しみにしていてくださいね。

コメント、ありがとうございました~(≧∀≦)


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遅くなりましたが、久しぶりの風太です~(^O^)


「風太、潮干狩りに行かないか」
「しお・・・?」
「潮干狩りだ」
「しおひがり・・・」

こてんと小首をかしげながら見上げてくる。
なんて愛らしいんだろうと身もだえしつつ、恭介は潮干狩りについて説明を続ける。

「海であさりを取るんだよ。スコップ持ってって。前に海水浴に行ったろ?」
「うみ・・・ふうた、たのしかったの」
「そう、その海だ。今度は水に入るんじゃなくて、砂をほじってあさりを取るんだ」
「あさり?」
「貝だよ、貝。風太好きだろ、貝の入ったスパゲティー」
「ぽんこれ!風太、ぽんこれ大好きっ」
「ボンゴレ、な」

なんて会話をしたのは数日前。
今日は早朝から千葉までやってきた。
潮干狩りは時間勝負だ。
夜明け前に家を出て、すいすいとあっという間に海岸に到着した。
連休明けの平日ということもあってか、道路が物凄く空いていたのもラッキーだった。
こういう時、フリーランスでよかったと思う。

「風太、着いたぞ」
「ふを~~~~~っっっ」
「おい、走んなよ、転ぶぞ」
「うみっ。きょおすけ、うみなのっ」
「落ち着けって。そんな急がなくても海は逃げないから」

海に興奮してぴょんぴょん跳ねる風太は、もう待ちきれないとばかりに恭介の手を引っ張る。
早朝とはいえ、日差しはそれなりに眩しい。
そういえば5月は一年で最も紫外線の強い時期だと、どこかで読んだことがある。
風太のきれいな白い肌が日焼けしないよう、UV50の日焼け止めを持参している恭介は、そのあたり抜かりがない。

ピンクのトレーナーにデニムのサロペット姿の風太は、誰の目から見ても愛らしい。
ちらほら見える潮干狩り客たちも、思わず振り返って「あの子、かわい~」などと言っている。
そのたびに誇らしくなる恭介だ。
長靴を履いていてもこんなに可愛いなんて、世界中どこを探しても風太しかいないに違いない。
真顔でそんなことを思いながら、潮干狩りのベストスポットを探す。

「風太、ここらへんにしよう」
「んん?」

今日は満月だ。
満月の日は沖のほうまで潮が引くから、美味いあさりが取れるのだ。
熊手を風太に渡すと、やり方を教えてやる。
すると、みるみる風太の目が輝き出す。
やはり子供にとってこういったレジャーはたまらない魅力があるのだろう。

「ほれ、やってみろ」
「うんっ」

夢中で砂を掘り始める。
その横で恭介も、目ぼしそうなところを熊手でほじる。
しゃがんだ姿勢を続けるのはなかなか辛いものがあるが、風太はまったく平気なようだ。
自宅でパソコンに向かうだけの生活になったため、すっかり運動不足が板についてしまった恭介とは対照的だ。
やはりジムにでも通うべきか・・・

「あった!きょうすけ、あったよ。かいさん、出てきた」
「おお、すげえな。じゃあこのスコップで掬ってバケツに入れろ」
「うんっ」

面白いように取れるあさりに風太は興奮冷めやらぬ様子で、次々にスコップで掬ってはバケツに入れていく。
時おり「ふっ」とか「ふお~」とか言いながら、夢中で砂をほじる姿が可愛くて、恭介は自分の手を動かすことをすっかり忘れてしまった。
それでも結構な量のあさりが取れた。
これだけあれば、二人で食べるには十分だろう。

「風太、砂ほじりはその辺にして、次はあさりを洗おう」
「あらう?」
「ああ、そのままだと砂だらけだろ?だからここであさりを洗っておくんだ。そしたら家に帰ってから砂抜きする時も楽だしな」
「すなぬき・・・」
「ずっと砂の中にもぐってたからな、貝の中に砂が入ってるんだよ。そのまま食べたら砂が口の中に入ってきてジャリジャリするぞ」
「じゃりじゃりはいやなの」
「だろ?だから砂抜きするんだ」
「ふ~ん」

洗ったあさりをクーラーボックスに移す。

「あっ」
「どうした?」
「かいさん、うごいた」
「そりゃあ、いきてるからな」
「いきてるの?」
「そうだぞ。あさりもハマグリも、みんな生きてるんだ」
「おくちからべろ~んてでてきた」
「砂抜きするともっとべろ~んってなるぞ」
「ふを・・・」

何ごとにも興味津々な風太は、これからもこうして色んなことを学んでいくのだろう。
人間の子供みたいに学校に通わせることはできないが、なるだけ色んなことを体験させてやりたい。
なんてことをぼんやり考えていると、クイクイと腕を引かれる。

「なんだ、どうした風太」
「あれなに?」
「ん、どれだ」
「あれ・・・おうちみたいなの」
「ああ、あれは休憩所だ。ほら、ずっとしゃがんでたら疲れるだろ、腹も減るし。あそこでコーヒー飲んだり甘いもん食ったりするんだよ」
「あまいもん?」
「なんだ、腹が減ったのか風太」
「ふうた、あまいのたべたいな」
「よし、じゃあちょっと休憩するか」

風太が期待するようなスイーツはなかったが、アイスクリームがあったのでそれを食べさせる。

「風太、うまいか」
「うん。きょうすけもたべる?」
「いや、俺はいいよ。風太が全部食べろ」

ひとしきり休憩した後は、車で都内まで戻る。
帰りの道も大して混むことなくスムーズに帰路に着くことができた。
その日の夜は、あさり尽くし。
我ながら料理の腕前も上がったなと思いつつ、冷えた白ワインをグラスに注ぐ。

「やっぱシーフードには冷えた白が合うな~」
「きょうすけ、たべてもいい?」
「ああ、いいぞ。こぼすなよ」
「うん」

ボンゴレは風太の好物のひとつだ。
最初はあさりの身を剥がすのに苦労していたが、もう慣れたものだ。
フォークの使い方も、大人とそん色がない。
元々猫は手(前足)が器用だが、風太の小さな手は大人顔負けに器用に動く。
くるくると長いパスタを巻きつけては、サクランボのような口に運ぶ。

「おいしい・・・」
「だろ?取れたてだからな」
「ぽんこれ、おいしいね」
「ああ、美味いな」

風太と二人で囲む食卓。
この平穏で眩しい日が、永遠に続きますように。
あさりの味噌汁をすすりながら、今日の幸せをかみしめる恭介だった。



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[2017/05/17 21:00] | 愛しのプッシーキャット
|

ふを~~~っ!!
日高千湖
潮干狩り、ありがとうございます!!

久々に本場の「ふを~~っ!」を聞かせていただきました~♪

「ぼんこれ」って!!可愛いですよ~!!砂をほじほじしてる可愛らしい風太。←これって長靴をはいた猫ですか?

破壊的な可愛らしさに、周囲の人々も貝掘りどころではないですね(笑)

たくさん採れただろうなあ~小さいカニさんとかと戯れる風太を想像しながら、しょっぱい空気を思い出した日高です。

ありがとうございました!



Re: ふを~~~っ!!
にゃあ
日高様~~~

> 潮干狩り、ありがとうございます!!

いえいえ、こちらこそ!
ネタのヒントをありがとうございますっ(≧∀≦)
風太が一生懸命砂浜で貝をほじほじしている図を想像し、悶絶しました。
それであっという間に書き上げた感じです。

> 「ぼんこれ」って!!可愛いですよ~!!砂をほじほじしてる可愛らしい風太。←これって長靴をはいた猫ですか?

確かに!!
長靴をはいた猫ですね~♪

> 破壊的な可愛らしさに、周囲の人々も貝掘りどころではないですね(笑)
> たくさん採れただろうなあ~小さいカニさんとかと戯れる風太を想像しながら、しょっぱい空気を思い出した日高です。

ホント、貝掘りどころじゃないですよww
小さい蟹さんと戯れる風太・・・これもモンゼツものですね。
やっぱり小動物は癒しです。

風太のほうも、ぼちぼち更新していきますので、お楽しみに♪

でもって、ネタも募集中です(←おいっww)

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「なるほど、ここが俺の住む世界じゃないということはわかった。まだ納得できねえこともいっぱいあるが、とりあえずじたばたしても始まらねえ」

眼下に広がる荘厳とも言える景色を背に、大きなため息をひとつ吐く。
なにがどうなっているのかわからないが、ここが日本でないことは確かだ。
夢でも見てるんじゃないかと思ったが、どうやら現実らしい。
これからどうすればいいのか。
さっきエリアスが言っていた元の世界に戻れるっていうのが気になるところだが、今の自分はこのとおり丸腰だ。
上着のポケットにチャカとナイフを入れていたはずだが、その上着が見当たらない。
というか今、白いガウンみたいなのを着せられている。
ズボンも靴下も、いや、そもそも靴も履いていない。
こんな格好で右も左もわからない世界で闇雲に動いて、下手を打っては元も子もない。
まずはこいつらが何者でここがどういう所なのか把握しなくては。

「驚きました。ここまで冷静な方は有史以来初めてではないですかね」
「そうなのか、神官長」
「はい、陛下。これまで異世界からやってきた方はみな、最初のうちは泣き暮らしていたと記録に残っております」
「そりゃそうでしょうよ、異世界からやってくるのは少年と相場は決まっていますからね。いきなり知らない世界に連れてこられて、茫然自失状態に陥るのも無理もないこと。でもこの方は、こう言ってはなんですが・・・もうお若くありませんからね」
「オーランド、そんな言い方は失礼だよ」
「ですが王、よくごらんなさい。どう見ても王より遥かに年上ですよ。落ち着いていて当然です」
「確かに、少年とは言い難いですね」
「ディートリヒ、あなたまでそんなことを」
「ですが、黒髪に黒い瞳です。たとえ多少とうが立っていたとしても、天が使わされた方に間違いはありません」
「おい、さっきから聞いてりゃ好き勝手ほざいてくれるじゃねえか」
「ナルセ・・・」
「人を値踏みするみたいにとうが立ってるだのなんだの。年食ってて悪かったな」
「ナルセ、すまない。おまえたち、口を慎みなさい!」
「「はっ。申し訳ございません」」
「このとおり、非礼は詫びる。彼らも悪気があったわけではないのです。どうか許してくれないだろうか」

エリアスがスッと床に片膝を立てる。
突然目の前でそんなことをされて、ちょっと戸惑ってしまう。
よく古い任侠映画なんかで「お控えなすって」なんてやっているが、あんな感じだ。
いや、違うな。
ガイジンの男が女にプロポーズする時の感じ、と言った方がいいかもしれない。

「ナルセ、他の者がなんと言おうが、私にとってそなたはかけがえのない番だ。年など関係ない。だから許してほしい。そして私の番になるとここで約束してほしい」
「あのさ、さっきから疑問に思ってたことなんだが」
「疑問?」
「ああ」
「なんでも聞いておくれ。私で答えられないことはここにいる神官長のヴァレンティーノが答えてくれる」
「わかったから、まあ立てよ。それに、そんな畏まった話し方はやめてくれ。さっきみたいに普通に喋ってくれよ」
「おお・・・ナルセ、もう僕に心を開いてくれたのだね」
「いや、そういうわけじゃねえが。いいから立て」

なんだか面倒くさそうな連中だ。
一々芝居がかった感じがどうにも馴染めない。
立ち上がったエリアスが、妙に熱を持った目でこちらを見つめてくるのも居心地が悪い。
他の連中の視線も痛いほど全身に刺さってくる。
ヤクザなんて稼業をやっていると、街に出ても一般の人間はこちらを見ないようにするもんだが、こいつらは違うようだ。
というより、ヤクザなんて概念がこの世界にあるのかどうかも疑わしいが。

「で、疑問とは?」
「その、さっきから言ってる“番”ってのはなんだ。それと、なんで黒髪黒目の人間にそうこだわる?」
「ああ、そのことか。それに関してはさっき神官長が説明したとおりだよ」
「だからその説明じゃわかんねえから聞いてんだろうが」
「うーん・・・どこから話せばいいんだろう」
「エリアス、番の少年が来たって本当?!」

音を立てて扉を開けて入ってきたのは、ゴージャスな金髪娘だった。
おとぎ話に出てくる妖精のようなふわふわしたドレスを身にまとい、飛ぶようにこちらに駆けてくる。
興奮しながらあたりを見回すと、視線が自分にロックオンされる。
つかつかと目の前までやってくると、その瞳が大きく見開かれる。
燃えるような赤い瞳なんて、生まれて初めて見た。
まじまじとこちらを見つめたかと思うと、振り返りひとこと、

「オジサンじゃないの!」

どこまで失礼な連中なんだ。
この俺をオジサン呼ばわりするのか。
泣く子も黙る春日組若頭のこの俺を。

「テルマ、黙って!」
「エリアス、本当にこの人があんたの番なの?」
「だから黙ってって言ってるじゃない」
「どう見てもオジサンじゃないの。私はてっきり、子ウサギみたいな可愛い子が来ると思っていたのに」
「テルマ!」
「ねえ、あなた。年はいくつ?」
「テルマ、失礼だよ」
「35だ」
「35!」
「テルマ、余計なこと言わないでよ」
「ねえ、35ってことはあっちの世界で言うとやっぱり中年よね?確か向こうでは人間の寿命って70歳とか80歳とか、そんなもんなんでしょう?」
「いいから黙ってよ、テルマ。これからナルセと色々話さなきゃならないんだから」
「あら、あなたナルセって言うの?私はこのエリアスの姉で、テルマって言うのよ。よろしくね」
「姉・・・あんたら2人姉弟なのか」
「もう一人弟がいるけど、今ちょうど昼寝してるのよ。それよりナルセ、あなたの職業はなに?その年で学生ってことはないわよね?」
「ヤクザだ」
「は?」
「俺はヤクザだ」
「ヤクザ・・・?なにそれ、聞いたことないわ。神官長、ヤクザって何?」
「テルマ様、申し訳ございません。わたくしにもわかりかねます。書庫に行って過去の文献を当たれば何らかの記述があるやもしれませんが」
「まあ、神官長にもわからないことがあるなんて!」
「テルマ、もういいからちょっと黙ってて。ごめんね、ナルセ。この通りうるさい姉だけど、根は悪い人間じゃないんだ」

なんでもいいが、俺の疑問に答えてくれ。
そう言いたいのに、この姉弟の勢いに押されて言葉が出てこない。
俺はいったいどうなってしまうのだろうか。




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[2017/05/13 12:00] | 若頭なのに異世界トリップしちゃいました
|

にゃあさま~!!
日高千湖
ふを~~~っ!!

本来、番は少年なんですね(●´艸`)ヾそれなのに、35歳www

テルマお姉さまが良い感じで引っ掻き回してくれて(笑)

そうですよね、普通は泣き暮らしますよね(笑)それがなぜか肝が据わってるなんて!!

どうなっちゃうんでしょうね?元の世界には戻らないっ!とオジサンが言っちゃうくらい、ラブラブになる日は遠いような・・・。

風太は何をしてるかな?潮干狩りでしょうか?ふふふっ

Re: にゃあさま~!!
にゃあ
日高様~~~ふを~~~(^O^)

> 本来、番は少年なんですね(●´艸`)ヾそれなのに、35歳www

はい、本来は少年のはずなんです。
なのに何の因果か、三十路のヤクザww

> テルマお姉さまが良い感じで引っ掻き回してくれて(笑)
> そうですよね、普通は泣き暮らしますよね(笑)それがなぜか肝が据わってるなんて!!

ええ、なんてったってヤクザの幹部ですから。
そうそうのことじゃあ動揺しません(●´艸`)

> どうなっちゃうんでしょうね?元の世界には戻らないっ!と
> オジサンが言っちゃうくらい、ラブラブになる日は遠いような・・・。

どうなるでしょうね。
まだまだこの先、波乱万丈が待ち受けていますよ。
お楽しみに♪

> 風太は何をしてるかな?潮干狩りでしょうか?ふふふっ

あっ、いいですね~それ。
潮干狩りネタ、いただきっ(≧∀≦)
風太のほうも、まったり連載していきますので、お付き合いくださいませ~



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